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第12-4回 化学種の反応速度[julia, python]



*コードは第12-5回にあります。




\begin{eqnarray}
\frac{\partial \rho_s}{\partial t} + \nabla (\rho_s \textbf{u}) = \nabla (\rho D_s \nabla X_s) + \dot{\omega_s}
\end{eqnarray}



各化学種保存式における最後の項、単位時間単位体積当たりの化学種生成質量である生成速度\(\dot{\omega}_s\)の求め方を記載します。



結論としては、次の通りです。


\begin{eqnarray}
{\dot{w}_s} = M_s \sum_{r=1}^{nr}(\nu’_{s, r}-\nu_{s, r}) (L_{f, r}-L_{b, r})
\end{eqnarray}

\begin{eqnarray}
L_{f, r} = k_{f, r} \prod_{j=1}^{ns} \left(\frac{\rho_j}{M_j} \right)^{\nu_{j, r}}
\end{eqnarray}

\begin{eqnarray}
L_{b, r} = k_{b, r} \prod_{j=1}^{ns} \left(\frac{\rho_j}{M_j} \right)^{\nu’_{j, r}}
\end{eqnarray}


ここで、\(M_s\)はモル質量(原子量や分子量)、\(\nu_{s, r}\)、\(\nu’_{s, r}\)は化学種\(s\)と化学反応\(r\) の生成物・反応物に対する化学量論係数、\(k_{f, r}\)及び\(k_{b, r}\)は前進反応・後退反応の化学反応速度定数です。



それでは、それぞれの値の求め方について掘り下げていきます。



化学反応式は次のように書けます。

\begin{equation}
\nu_{1, r}X_1+ \cdots + \nu_{ns, r}X_{ns} \rightleftharpoons \nu’_{1, r}X_1 + \cdots + \nu’_{ns, r}X_{ns}, \quad r=1, \cdots, nr
\end{equation}



今回は2つの化学種\(\textrm{N}_2, \textrm{N}\)を考えるため、\(\nu_{1,r}\)は\(\textrm{N}_2\)を指し、\(\nu_{2,r}\)は\(\textrm{N}\)を指します。



さらに考慮する具体的な反応を例に考えます。


\begin{eqnarray}
\textrm{N}2 + \textrm{N}_2 \rightleftharpoons \textrm{N} + \textrm{N} + \textrm{N}_2 \end{eqnarray} \begin{eqnarray} \Leftrightarrow \nu_{1,1} = 2, \ \ \ \nu_{2,1} = 0, \ \ \ \nu_{1,1}^{‘} = 1, \ \ \ \nu_{2,1}^{‘} = 2
\nonumber
\end{eqnarray}



\begin{eqnarray}
\textrm{N}2 + \textrm{N} \rightleftharpoons \textrm{N} + \textrm{N} + \textrm{N} \end{eqnarray} \begin{eqnarray} \Leftrightarrow \nu_{1,2} = 1, \ \ \ \nu_{2,2} = 1, \ \ \ \nu_{1,2}^{‘} = 0, \ \ \ \nu_{2,2}^{‘} = 3
\nonumber
\end{eqnarray}

このように各化学反応において化学量論係数を求めます。



次に前進反応の化学反応速度定数\(k_f\)になります。

\begin{equation}
k_{f}(T_{f}) = C_{r} T_{f}^{n_{r}}\exp\left(-\frac{\theta_{r}}{T_{f}} \right)
\end{equation}



ここで、\(C_r, n_r, \theta_r\)は定数であり、文献[1]から求めます。



後退反応速度定数\(k_b\)は平衡定数\(k^{eq}\)から次のように求めます。

\begin{equation}
k_{b}(T_{b}) = \frac{k_{f}(T_{b})}{K^eq(T_{b})}
\end{equation}



この平衡定数は文献[2]のモデルに沿って、カーブフィッティングによって求めます。\(A\)が定数となっています。

\begin{equation}
K_r^{eq} = \exp\left[A_{1, r}/Z_{p} + A_{2, r}+A_{3, r}\ln Z_{p} + A_{4, r}Z_{p} + A_{5, r}Z_{p}^2 \right]
\end{equation}

\begin{equation}
Z_{p} = \frac{10^4}{T_{b}, r}
\end{equation}



以上の計算から生成速度\(\dot{\omega}_s\)がもとまります。



次回はコードに落とし込みたいと思います。



by hide



Reference

[1] C. Park, “Assessment of a two-temperature kinetic model for dissociating and weakly ionizing
nitrogen,” Journal of Thermophysics and Heat Transfer, vol. 2, no. 1, pp. 8–16, 1988. doi:
10.2514/3.55.

\vspace{\baselineskip}
[2] C. Park, Nonequilibrium hypersonic aerothermodynamics. Wiley, New York, 1990

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