工学系大学院生のブログ

2人の大学院生による雑記ブログ

第12-1回 化学反応流 (reacting flow)[julia, python]



*コードは第12-5回にあります。



今回は、化学反応を伴う流れ場について解析を行っていきます。



最終的な結果としては、次の図のように衝撃波により窒素分子が窒素原子に解離している様子をとらえたいと思います。

左:窒素分子\(\textrm{N}_2\)の質量分率 右:窒素原子\(\textrm{N}\)の質量分率




圧縮性の式は、質量保存則(1)、運動量保存則(3)、エネルギー保存則(1)の5つの式で記述することが出来ていました。(三次元の場合)



化学反応を考慮する場合は、上記の5つに対し化学種保存則が組み込まれます。


仮に窒素分子\(\textrm{N}_2\)と窒素原子\(\textrm{N}\)を考慮する場合は、窒素分子の質量保存則と窒素原子の質量保存則を解く必要があります。



つまり,考慮する化学種分だけ式を解かなければなりません。



その方程式は次の通りです。

\begin{eqnarray}
\frac{\partial \rho_s}{\partial t} + \nabla (\rho_s \textbf{u}) = \nabla (\rho D_s \nabla X_s) + \dot{\omega_s}
\end{eqnarray}


ここで、\(\rho_s\)は各化学種の密度、\(D_s\)は拡散係数、\(X_s\)はモル分率、\(\dot{\omega}_s\)は単位時間単位体積あたりの生成質量である生成速度です。



左辺は質量保存則と同じ形をしています。

右辺には拡散項と生成項があります。



拡散項はその名の通り、拡散によって広がる量を示しており、生成項は化学反応によって生じる量または減少する量のことを指します。



これらの方程式を加えて化学反応流を解きます。



ここで、化学反応流の分類は下記のように大きく分けて3つになります。


1 化学的凍結流

2 化学的平衡流

3 化学的非平衡流


1 化学的凍結流

この流れ場は、化学反応を凍結させて解くことになります。

つまり化学反応を解きません。


これは、流れ場の速度がとても早く、化学反応が起きる前に流体が後流に流れてしまうケースに凍結流の仮定を用います。


実際に凍結流が用いられるケースとしては、流速が早いだけでなく、密度が小さく反応の影響が小さい場合に用いられることが多いです。




2 化学的平衡流

この流れ場は、化学反応と流れ場の方程式を分けて解く方法になります。


これは、化学反応の速度に比べて流れ場の速度が十分に遅いときに使用されます。


具体的には、燃焼の解析に対して使用されることが多々あります。



解析時にはoperater splitting 法などが用いられます。


1)流体の方程式を1step進める\((dt = 1.0 \times 10^{-6})\)

2)化学反応について1)の時間と同じになるようにstepを進める\((dt = 1.0 \times 10^{-9})\)

3)上記の手順をくり返す


つまり、「流れ場を固定し、化学反応を解く」という流れになります。




3 化学的非平衡流

この流れ場は、化学反応と流体の方程式を同時に解く方法になります。


これは、極超音速(マッハ数5以上)のときに使用されています。



具体的な例としては、はやぶさカプセルのように宇宙から地球に戻ってくる大気圏再突入時などに使用されます。



凍結流と平衡流は理想的な仮定であり、実際の現象は化学的非平衡として起きています。





この第12回では「3 化学的非平衡流」を用いて衝撃波を伴う化学反応流を求めていきます。


次回は、状態方程式です。


by hide


Reference
西田迪雄,気体力学,吉岡書店,2004

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