第11-3回 圧縮性Navier–Stokes方程式(陰解法、LU-SGS, Local time stepping) [julia]
第11回のまとめとして、圧縮性Navier–Stokes方程式(陰解法、LU-SGS, Local time stepping)を解きたいと思います。
今回は少し複雑な格子に対する解析ということで、特にバリデーションを行いませんので、ご了承ください。
陽解法でのバリデーションは以前の第10回で行っていますので、興味があれば見てみてください。
・解析条件
今回は、NACA64A010, NACA4412, はやぶさカプセルの解析を行います。すべてO型格子で解析を行いました。
これらのO型格子の格子生成方法、境界条件については、下記を参照してください。
流入条件は下記の通りです。バリエーションではないので、とりあえず第10回と同じものとしました。
\begin{eqnarray}
\rho &=& 0.02026 \ kg/m^3 \\
u &=& 1296.22 \ m/s \\
v &=& 0.0 \ m/s \\
T &=& 63.73 \ K \\
\end{eqnarray}
空気の気体定数\(R_d = 287.0\)として計算しています。
移流項スキームはAUSM+、粘性項は中心差分です。こちらは第10回と同じです。
時間一次精度の陰解法としてLU-SGS,内部反復(Local time stepping)を使用しています。
時間刻み幅等に関しては形状によるので、解析結果とともに記載しておきます。
2 解析結果
前縁が鋭いため、弓なり衝撃波ではなく、斜め衝撃波のようなものが生じています。
等温壁(300K)であり、解析条件は下記の通りです。
\begin{eqnarray}
Number \ of \ cells &=& 40,000 \ (200 \times 200) \\
time \ step &=& 200 \\
\Delta t &=& 1.0 \times 10^{-5} \ s \\
C_{cfl} &=& 1.0 \\
inner \ step &=& 40 \\
\end{eqnarray}
この翼は、キャンバーがついているため、翼の上側と下側で分布が変わっています。このような非対称の解析も一般座標系では、行えるためとても便利です。
等温壁(300K)であり、解析条件は下記の通りです。
\begin{eqnarray}
Number \ of \ cells &=& 40,000 \ (200 \times 200) \\
time \ step &=& 200 \\
\Delta t &=& 1.0 \times 10^{-5} \ s \\
C_{cfl} &=& 1.0 \\
inner \ step &=& 40 \\
\end{eqnarray}
こちらは鈍頭物体のため、弓なり衝撃波が生じていることがわかります。
等温壁(300K)であり、解析条件は下記の通りです。
\begin{eqnarray}
Number \ of \ cells &=& 40,000 \ (200 \times 200) \\
time \ step &=& 200 \\
\Delta t &=& 1.0 \times 10^{-5} \ s \\
C_{cfl} &=& 1.0 \\
inner \ step &=& 40 \\
\end{eqnarray}
また、すべての解析において衝撃波部分だけでなく、背面の温度が上がっています。
物体背面は低圧となるため、流体が流れ混み衝撃波のように上面と下面から流れがぶつかることで温度が上がると考えられます。(再圧縮領域)
・陰解法の注意点
陰解法の利点は、時間刻み幅を大きくとれることです。
ただし、今回の手法では格子が小さいとうまくいきません。格子が小さいと内部反復による収束性が悪くなります。
数回の内部反復で収束させようとするためには、物理時間刻み幅\(\Delta t\)を小さくしなければならず、本来の利点が生かせなくなります。
そのため、第10回の条件のように格子が小さいと同様のデータを得るために、陰解法にも関わらず陽解法と同じ程度の物理時間刻み幅でないと収束しません。
興味があれば、調べてみてください。
これらのコードは、こちらにアップロードしています。
https://github.com/hide-dog/general_2d_NS
また,計算が安定するように初期条件は流入条件より低密度,高温で計算を始めています.
ここまで読んでいただきありがとうございます。
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