工学系大学院生のブログ

2人の大学院生による雑記ブログ

カテゴリー: 第5回 オイラー方程式

第5回補足-1 衝撃管の厳密解を求める(ランキン・ウゴニオ)

この記事では、sod shock tubeの厳密解を求める方法を工学系大学院修士課程の筆者が解説していきます。 以前の記事で、sod shock tubeの解析解について言及しました。 コメントで、厳密解の導出方法が知りたいとのご要望をいただきましたので、今回取り上げていきたいと思います! 1.sod shock tube とは何か? 仕切りのある圧力容器の左側に高圧の流体、右側に低圧の流体を封入したシチュエーションを考えてください。この仕切りを一気に取り除いた時、適切な条件下であれば、管内に衝撃波が発生します。この一次元の流れ場における衝撃波について考えるのが衝撃波管問題です。 20世紀後半に、この問題について研究したゲーリー A. ソッド(Gary A......

第5-4回 オイラー方程式(コードの補足)[python]

コードが長くなってきましたので、何をしているのか補足したいと思います。 前回の記事と合わせてご参照ください。 ①仮想セルについて(13~14,94~98行目) 有限体積法では、検査体積の中心を代表値として算出しています。つまり解析領域の端に代表点はなく、セル境界が解析領域の端になってしまいます。 そこで上の図のように一つ外側にセルを用意し境界のバランスを調整します。 左端には「初期値で一定」のディリクレ条件を与えます。隣のセルとの平均値を境界の値として考え、下記のように外側のセルの値を決めます。 $$\frac{Q_{仮想セル}+Q_1}{2}=Q_L ⇔ Q_{仮想セル}=2Q_L-Q_1 $$ 右端では「勾配0」のノイマン条件を与えます。上記と同様に考え.....

第5-3回 オイラー方程式(Sod shock tube)[python]

$$\frac{\partial Q}{\partial t}+ \frac{\partial F}{\partial x} =0$$ $$Q=\left\{ \begin{array}{c} \rho \\ \rho u \\ e \end{array}\right\} , F=\left\{ \begin{array}{c} \rho u \\ p+\rho u^2 \\ (e+p)u \end{array}\right\} $$ 今回は今までのまとめとして、Sod shock tubeと呼ばれる衝撃波管に対して数値解析を行います。この衝撃波管は厳密解が求められており、数値解の検証によく使われます。 pythonのコードは最後に書いておきます。 衝撃波管.....

第5-2回 Riemann問題(FVS)[python]

前回は圧縮性流体の支配方程式としてオイラー方程式を取り上げました。この式は保存形で書かれており、有限体積法で解くことができます。 しかし、圧縮性流体において重要な問題があり、その一つがリーマン(Riemann)問題です。 次の図のように、ある領域において不連続な初期値をもつ場合の方程式をリーマン問題と言います。 離散化した際は当然ながら、上記のように不連続な値を取らざるを得ないです。 しかし、現実で衝撃波のように不連続な値が発生する場合、いままで通り風上差分を用いることができるのでしょうか。 オイラー方程式では3種の式が連動していますが、それぞれの伝播する方向は常に等しいわけではありません。 そこでFVS(Flux Vector Splitting)と呼ばれ.....

第5-1回 オイラー方程式[python]

$$\frac{\partial Q}{\partial t}+ \frac{\partial F}{\partial x} =0$$ $$Q=\left\{ \begin{array}{c} \rho \\ \rho u \\ e \end{array}\right\} , F=\left\{ \begin{array}{c} \rho u \\ p+\rho u^2 \\ (e+p)u \end{array}\right\} $$ 第5回では圧縮性流体の代表である衝撃波管(Sod shock tube)を解きたいと思います. この Sod shock tube は厳密解が求められており,数値解との比較ができるため圧縮性流体コードの妥当性検証が行えます. .....